【きもの楽庵】サラリとした単衣~盛夏用の生地「紗綾紗(さやしゃ)」を復元してもらいました!

かれこれ6~7年前に、たまたま、残っていた昔織られた紋柄の紗の生地で染められた「喪服」を手に入れてまして・・・。
これをご覧いただいたお客様が、その「サラリ」として皺になりにくい生地をとても気に入って頂き、色無地でも作りたいとおっしゃられたものの、現在ではもう織られて織らず・・・。
昔の方は、単純な絽に飽き足らず、こんなおしゃれな夏物の喪服を御召になられていたとは。やはり、きものが普段着であった時代は、おしゃれな方が多かったのでしょうね。

 

そうした中、どこかで又、織れないかといろいろな機屋さんにあたっていたところ、今はなき五泉の機屋、小熊さんにかつて織られていた職人さんがいらっしゃるとのことで、再度、織っていただくことに。

待つこと、一年近く、やっと再現して頂けました。
その名も「紗綾紗(さやしゃ)」という「もじり織で紗綾形を透かした紗の生地です。

 

この生地は、「もじり」の紗の組織なので、本当にサラッとしてそして何より皺になりにくく、そして軽く涼しいのに、透けすぎないという長所があり、本当に便利な生地です。

楽庵でも、無地染にしたり、喪服を染めていただいたり、江戸小紋の「金田先生」に江戸小紋染めていただいたりと、いろいろなものを作らせて頂きました。

まだ、在庫はいくらか残っていますが、これを織られた小熊さんも昨年廃業されてしまったので、もう、この素敵な生地は織ることができなくなってしまいました。

正直、もっとたくさんの着物好きな方が、こうした生地に触れていらっしゃったら、こうした織物も無くならずに済んだと思うと残念でなりません。

僕も、この業界で、約30年近く仕事してますと、こうした本当に良いものがあまり、知られていないために、絶滅してしまった物がたくさんあり、残念でなりません。

一度、作らなくなってしまうと、もう一度再現するのには、非常に大変な思いをしなければならなかったり、もう二度と作れなくなってしまうことも・・・。

正直、作るのは少し大変な事が多いですが、やはり、好んで使ってくれる方が多ければ作るのを止めないものだと思うのですが、世の中に知られないことが多いためになくなってしまうなんて・・・。

なので、微弱ながら僕は、楽庵では、ウチ限定で独占するのではなく、本当に良いものがいくらかでも残るように作ってもらいながら、問屋さんや同業者にもお分けして、いくらかでも世の中に知られて行けば、量産できるようになり、価格的にも、いくらかでもお手頃になり、より皆さんの手に入りやすくなり残すことができると思っています。しかし、甚だ微弱なもので、なかなか、難しいことですが・・・。

本当に、この業種をしていて思うのは、やはり良いものは、合理性とか大量生産とかは難しく、やはり、手を抜かないことでしか、作り得ないものだと確信しました。

もっともっと、日本のこうした技術が廃れないように残していきたいと思います。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

 

【きもの楽庵】大切なお履物を一生物にして頂くための『履物お手入れセット』を作りました!

こだわったオリジナルの草履を作りながら、
皆さんどうして、高級な革靴のお手入れはされても、
和装のお履物の場合は、それがないんだろうか?と疑問になって・・・。
ならば、「お履物お手入れセット」も作って、
大切に履き続けていただこうということで、作りました。

基本のものは、
①ステインリムーバー
②モイスチャライザー
③ベネトレイトブラシ(豚毛)×2
④楽庵オリジナル本ウコン履物保管袋
こちらが、とても重要なもののみ、セットしました「お手入れセット」をオリジナルで作りました。

履き心地に大きく関わってくる底革の手入れは、非常に重要です。
表面の革の汚れ落としばかりしていて、意外と底面の革はおざなりにしてしまうものです。しかしながら、和装の履物の場合、底面は「本革」がほとんどです。

もし、洋装の履物で、底も本革のものなら、ちゃんとお手入れするでしょうし、
特に雨などで濡れたら、絶対にお手入れしているはずなのに、
なぜだか、和装の履物の場合は、「良く、乾かして・・・。」なんてことで終わっているのが現状です。

これってなんかおかしいな?と思って。また、自分自身、本革の底のものを履いていて、最初は、クッション性がいいのだけれども、使っているうちに次第にそれが失われていくのは仕方が無いことだと思っていました。

しかし、こうしたお手入れセットを使ってちゃんとお手入れしていると、
革も、最初の油分を失わないので、ずっと履き心地が良いままなのです。

そりゃそうですよね・・・。人間の肌だって、お手入れをちゃんとしていれば、カサカサしなくて、潤いがあり、ハリも保てるんですものね。
同じことですよね・・・。

というわけで、まずは、底面の汚れ落としに使うのが、

このステインリムーバー。
それを塗り込むために、一本のベネトレイトブラシを使って・・・。

そして、潤い保湿の役目のモイスチャライザークリームを塗り込む。

こちらにももう一本のベネトレイトブラシを使って・・・。

そして、抗菌、防菌、防虫効果のある、楽庵オリジナルのこの本ウコン「渋木の本ウコンの履物入れ」に入れて、保管してください。(この本ウコン履物入れについては、『大切なお履物を保管する専用の「ウコンの履物入れ」を作りました!http://rakuan.jp/archives/3743』で、詳しくご紹介しています。)

さらに、エナメルなどの表面の革のお手入れには、

こちらのラックパテントを使用してください。

そして、もしカビが生えてしまったり、下カビ防止のためには

こちらのモールドクリーナーシート(皮革製品用防カビ&除去剤)を
使ってみてください。

大切なお履物をいつまでも快適にお履き頂き、一生物として使って頂くために、
ぜひ,お手入れをしてください。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

【きもの楽庵】こだわりの本場大島紬の「雨傘」作りました!

およそ、2年がかりでお作りしました雨傘が、
こちらの本場大島紬の・・・

この傘を作ろうと思ったのはおよそ2年前くらいで・・・。
日本の名だたる自動車メーカーさんが、そのブランド独自の傘を作られたのを知り、見させていただいたのですが、なんか、ピンとこなくて・・・。
そうしているうちに、傘職人さんと出会うことが出来、だったら、
納得行くものを作りたいと思いまして・・・。
昭和のはじめころまでは、傘といえば絹傘が主流だったらしいのですが、
(パラシュートの生地なども絹だったようです。)
戦後、化繊の生地が出回るようになって、傘がどんどん安価なものになっていたそうで・・・。
そして、本来、雨傘用の生地は、広幅でおるものをしようするらしいのですが、
現在は織られていないので、小幅のきもの用のものでやりくりしました。
ところが、傘というのは意外と、大きな名が三角形の生地を取らなくてはならないために、今回は、あえて柄も考えながら、ハギをして作ることに・・・。

まず第一に、持ちての感触が大事だと思いまして、
まずは持ち手を制作していただくことに!

 

触っていただいた方は皆さんしっくり来るとおっしゃられます。

その後、持ち手に合わせて中骨を作っていただき、

 

その後に、生地を貼ってもらいました。
生地は、軽くて撥水性が高いものということで「本場大島紬」の生地で!

 

外周の部分は、「80亀甲の男物」で、内側は「9マルキの女性もの」を使って・・・。正直、蛇の目と同じお大判で作りましたが、上質な大島の生地を使用しましたことで、かなり軽量に出来上がりました。

もともとの大島の生地の風合いと撥水加工で、水は完全に弾きます!

 

なかなか洒落ているでしょう!

  

きものでも雨に濡れない十分な大きさですが、かなり軽く出来ました。

そして残裂で「傘袋」とこの傘をいれる箱も作りました。

 

柄のところには、藤本染芸さんで染めていただいた生地を枕にして、
柄が傷つかないように!

正直、これならば、日本の技術が誇れる傘が出来たと思っています。
こんな傘を差したら、雨の日に、着物を着ることもグッと楽しくなると思います。

実物を是非触りに、お店に遊びにいらしてくださいませ。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

 

【きもの楽庵】こだわりの紳士の本革のお履物を作りました!

楽庵をよくご利用いただくお客様より、もっと、「おしゃれな履物」無いのですか?とのリクエストを頂き、草履メーカーや職人さんに要望したのですが、
無難なものしかなく、また、コルク台のちゃんとしたものより、ゴム底などの
簡易草履のほうがメーカーさんは力入れている感じで、なかなか、良いものがありませんでした。

だったら、うちで、革からこだわって、またその作りにもこだわった長く使えて履きやすい履物を作ってしまおうということで、まずは、素材の革屋さんに行きまして、素材から作ってもらうことに・・・。

最初のお写真の履物の革は、牛革に特殊な塗料を塗って型押ししまして、熱処理すると凹凸が出る革を作ってもらいました。

他には、こんな色目も・・・。

 

革の表面の拡大はこんな感じのペーズリー柄で、
 

台は、本コルクで、底皮も、今良く使われる経済性と処理のしやすさのドイツ発祥の鉱物系クロムなめしのものが多いのですが、こだわって、タンニンなめしの厚みのある赤皮を手切りでカットしてもらい、
切った側面の「蜜蝋」でコバ処理をちゃんとして・・・。

最初、職人さんには、難色を示されましたが、頼み込んで頼み込んで、革本来の風合いを活かすことにより、本来の履き良さを追求して、作ってもらいました。

そしてもう一つのタイプが、こちらのもので、

表面の革の拡大がこんな感じ。

 

こちらは、天に、低反発のクッションを入れたタイプも作りました。

こんな感じ強く押すと、少し沈み込む天です。

こちらも、底面はタンニンなめしの赤皮で・・・。
特に、白の方は、蜜蝋で着色しないように注意が必要だったようで、
手がかかったとおっしゃってました。

こうしたお履物は、全て天然素材で作っていますので、
最後は、自然に「土に還る」地球に優しいもので、
やはり、昔ながらの方法は良いものだと実感しています。

革用のオイルやクリームでお手入れしていただけば、本当に一生モノのお履物が出来上がり、お客様にも「カッコいい!」と喜んでいただけました。

何事もこだわると、面白いものができますし、本来の良さがよく理解できると、改めて痛感しました。

こうした無理をお願いしても答えてくれる職人さんがいるうちに、
もともっと、ちゃんとしたこだわりのものを作っていきたいと思います。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

【きもの楽庵】洗濯の際に生地を傷めにくい馬毛のブラシ

びっくりするくらいきれいになります!

馬毛が植毛されて、そのブラシの柄を握ると自然に、生地に直角にブラシの毛足が当たるので、生地を傷めにくいのです。
本来は「足袋洗ブラシ」として作られたものですが、
足袋だけでなく、洗える正絹の着物の襟汚れや袖口汚れや油ジミなどにも
使えて、生地を傷めず汚れ落とし出来ます。

絹物は特にデリケートな素材で、繊維が傷つきやすく、傷がつくと、毛羽立って白っぽく見えてしまい、それは治すことが出来ません。
一時的に「スレ防止剤」といって、少しオイリーなものを表面につけて、
毛羽を寝かせて見えにくくすることは出来ますが、完全に直るものではないので、時間が経過するとまた見えてしまいます。

足袋などの上質な綿のキャラコなどでも同じく、汚れを落とそうと無理に生地に負担をかけて傷つけると、その後にさらに汚れがその傷に入り込み取れにくくなってしまいます。

ですので、こうした天然の「馬毛」のブラシで、さらにグーでその持ち手を握ると自然と生地に対して直角に当たるブラシですと、驚くほど汚れも落ちて、
生地にも傷をつけません。

お客様の中には、ワイシャツの襟汚れ落としに使われている方もいらっしゃいます。

実際に、これを買われたお客様は、「足袋を洗う」ことが楽しくて仕方がないとおっしゃられる方もいらっしゃいます。

ぜひ一度、この馬毛のブラシを使ってみてください!

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也