【きもの楽庵】良質な日本製の扇子を無くさぬよう、見極めて、使ってください!!

こちらは、45間の短地の国産の良質な扇子。
以前は、60間というような素晴らしい扇子も作られていましたが、今はもう、ほとんどてにはいりません。
「短地」というのは、地紙と呼ばれる竹骨に貼ってある紙の部分の長さのことで、通常より巾の短い地紙のことです。

この「間」というのは、扇子の骨の本数のことです。
間を増やすには、粘りのある良質な竹でなくては、薄く削いで作ることが出来ないので、そうした良質な竹も手に入りにくくなっている事と、熟練の職人さんが居なくなっていることが関係しています。

技術が廃れたというより、こうした扇子の良さをちゃんと判って頂き、少々高くても買って頂く人が居なくなって来ていることも関係していますので、目利きの力も皆さんに磨いて頂きたいと思います。

なんと言っても、こうした扇子の良さは、「実際に扇子であおいでみる」とよくわかります。

あまり、力を入れずにあおいでも、凄い風量が来ます。
なので、暑い時に無理してバタバタあおぐ必要は無いのです。
本当に優雅にあおいで頂くと、かえって風が来るものです。

それは、薄く削いだ竹骨がしなって、風を包み込むように運んでくれるからです。

悪いわけではありませんが、最近は、麻張りなどの扇子もよく出ています。
麻張りだから一見良いもののように感じますが…。

生地の重さに耐えることもあり、骨の厚みがすごくあるんです。
間数も、最初のものに比べて全然少ないのです。


こちらがこの麻張りのセンスの骨の断面。


こちらの最初の写真の45間の骨の断面。全然厚みが違いますよね。


左が最初の写真の45間の骨で、右が麻張りの骨 一本一本の骨の厚みが違うのが分かると思います。

又、こうした片張りで裏側にすると骨が見えています。

又もう一つの特徴というか見分けるコツが、本来、日本の扇子の良質なものは、
扇子を閉じている時の形状でわかります。

左側の45件のものは上部がすっとすぼまっているのに対して、右の麻張りは、上部が開いてしまっています。

良質な扇子は、真ん中に膨らみがあり、上部と要(かなめ)の部分はすっとすぼまっています。

すべて竹骨が薄く本数が多いものだけが良いものというつもりはなく、最近では、NHKの大河ドラマで、福山雅治さんが使ってから「龍馬扇」と呼ばれるようになったこうした扇子も、着物で帯位置に挟んだりして使うには良いものです。

結構ガッチリした感じですが、骨も頑丈で、地紙も「油紙」というしっかりしたものを使っているので、初心者の方などは、使いやすいと思います。

最近は、「京扇子」という称号を付けた海外製もよく出回っていますので、
ネーミングに惑わされずに、本物を見極めて使って頂き、
どうか、日本の職人さんを守っていってください。