【きもの楽庵】烏畳みのフェルト履きも、もう作れないそうです・・・。

この底は、本フェルトを烏だたみの雪駄に縫い付けたもの…で、
元々は、日本舞踊や歌舞伎の役者さんの楽屋履きに使っていたものだそうです。

僕が、若い時にかなりお世話になった刺繍の先生は、お家でも、よく着物でお過ごしのようで、その時にスリッパはあまりお洒落じゃないのと、パタパタ音がするから嫌だっていうことで、ご注文いただき、浅草の職人さんに作ってもらっていました。

表はこんな感じのカラスだたみで、本当に音がしなくてとても軽い履物です。

お家でお着物の時に、こんな素敵なお履物を履いてらっしゃたら、
さぞかし、素敵な方だと思われると思います。

先日、お草履の職人さんが、「楽庵さんは、本当にいろいろこだわったものを置いてらっしゃいますね・・・。」と、びっくりされてました。

その際、「もう今これだけの仕事が出来る職人さんは居ない」とおっしゃられており、本当に、日本の素敵な本物は、危機的な状況だと思います。

いくらかでも、皆さんに使ってもらえないと、廃れていってしまうもので、一度、廃れてしまうと再度、復興するのは本当に大変なことで、無くなっていってしまうので、是非、皆さん、本物を使ってください。

 

【きもの楽庵】二本歯の塗下駄の傷や欠け防止には、本革を下駄につける

こちらは、先日、YouTubeの楽庵チャンネルをご覧いただき、京都からお越しになられたお客様にお納めしました津軽塗の下駄の底面。

ご自身のお好きな江戸小紋の残裂で鼻緒を作ってすげさせていただいたもので、
そちらのお客様は、あまり下駄は履き慣れないので、傷を付けてしまいそう…トのことで、「津軽塗」だし、大切に長く尾は気になられたいとのことで、
つま先の裏にこうして本革を付けてお納めさせて頂きました。

お気に入りの下駄などは、こうした補強をしておかれると長くお履き頂けます。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

【きもの楽庵】きものはどうして「たとう紙」に入れるの?

きものは、特に正絹などは、湿気を嫌います。
湿気があると、カビや変色、箔のものなどは、サビが起きやすいものです。

そうしたことから、きものはたとう紙と呼ばれる紙の入れ物に保管することが
良いのです。

出来れば、和紙の物が一番良いですが、和紙でなくて安い用紙のものでも、
なるべく頻繁に交換してあげると良いです。

たとう紙が湿気を吸収してくれるので、出来れば1年に一辺は、全てあたらしいたとう紙に入れ替えてあげると、虫干しできないときも安心です。

以前、きもの保存袋といって不織布のものでチャックの付いたものが流行りましたが、楽庵ではあまり勧めていません。

不織布は石油製品ですし、あまり調湿性が良いとも思えないからです。

一見頑丈で良さそうですが、昔ながらの紙のほうが良いと思います。

たとう紙の裏面を見るとよく、茶色く筋が入っていたり、
星といって茶色い細かい点が出ていつことがありますが、
これは湿気を吸って、一種のカビが生えている状態ですので、
すぐ交換してください。

僕は、よくお客様にお話するのですが、昔からずっと伝えられてきたことには、
それなりの理由と良さがあるものなので、
意外と昔ながらのことのほうが良いことはたくさんあるものです・・・と、
お伝えします。

たとう紙のこまめなお取替えは、きものにはかなり重要です。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

【きもの楽庵】虫干しできないときは「きもの番」

今年は、コロナの影響で、着物を着てないので、虫干しもしてなくて、
着物が心配っていう方が多く、結構人気のあるのが、この「きもの番」という、
繊維専用のシリカゲルの湿気取りです。

シリカゲルというとよくお煎餅なんかに入っているものを思い浮かべますが、
A型とB型という種類が有って、繊維にはB型シリカゲルというものじゃないと
効果が無いのです。

それに、この「きもの番」は備長炭を配合した不織布で出来ているので、防カビ・防虫効果もあります。

ですので、この防湿・防カビ・防虫効果のある「きもの番」をタンスの引き出しの
着物の下に入れとくと良いというすぐれものです。

又、再生しぐなるというマークが有り、湿気をたくさん吸うと青からピンク色になるので、布団を干すように天日干ししていただくと又、湿気が抜けて青のマークになれば繰り返し使えるというすぐれものです。

梅雨で湿気の多い今こそ、この「きもの番」を使って、着物を大事にして
頂きたいものです。

楽庵でも定番で扱っており、2枚入って¥2,000なので、1枚¥1,000で安心出来るすぐれものです。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也

 

【きもの楽庵】良質な日本製の扇子を無くさぬよう、見極めて、使ってください!!

こちらは、45間の短地の国産の良質な扇子。
以前は、60間というような素晴らしい扇子も作られていましたが、今はもう、ほとんどてにはいりません。
「短地」というのは、地紙と呼ばれる竹骨に貼ってある紙の部分の長さのことで、通常より巾の短い地紙のことです。

この「間」というのは、扇子の骨の本数のことです。
間を増やすには、粘りのある良質な竹でなくては、薄く削いで作ることが出来ないので、そうした良質な竹も手に入りにくくなっている事と、熟練の職人さんが居なくなっていることが関係しています。

技術が廃れたというより、こうした扇子の良さをちゃんと判って頂き、少々高くても買って頂く人が居なくなって来ていることも関係していますので、目利きの力も皆さんに磨いて頂きたいと思います。

なんと言っても、こうした扇子の良さは、「実際に扇子であおいでみる」とよくわかります。

あまり、力を入れずにあおいでも、凄い風量が来ます。
なので、暑い時に無理してバタバタあおぐ必要は無いのです。
本当に優雅にあおいで頂くと、かえって風が来るものです。

それは、薄く削いだ竹骨がしなって、風を包み込むように運んでくれるからです。

悪いわけではありませんが、最近は、麻張りなどの扇子もよく出ています。
麻張りだから一見良いもののように感じますが…。

生地の重さに耐えることもあり、骨の厚みがすごくあるんです。
間数も、最初のものに比べて全然少ないのです。


こちらがこの麻張りのセンスの骨の断面。


こちらの最初の写真の45間の骨の断面。全然厚みが違いますよね。


左が最初の写真の45間の骨で、右が麻張りの骨 一本一本の骨の厚みが違うのが分かると思います。

又、こうした片張りで裏側にすると骨が見えています。

又もう一つの特徴というか見分けるコツが、本来、日本の扇子の良質なものは、
扇子を閉じている時の形状でわかります。

左側の45件のものは上部がすっとすぼまっているのに対して、右の麻張りは、上部が開いてしまっています。

良質な扇子は、真ん中に膨らみがあり、上部と要(かなめ)の部分はすっとすぼまっています。

すべて竹骨が薄く本数が多いものだけが良いものというつもりはなく、最近では、NHKの大河ドラマで、福山雅治さんが使ってから「龍馬扇」と呼ばれるようになったこうした扇子も、着物で帯位置に挟んだりして使うには良いものです。

結構ガッチリした感じですが、骨も頑丈で、地紙も「油紙」というしっかりしたものを使っているので、初心者の方などは、使いやすいと思います。

最近は、「京扇子」という称号を付けた海外製もよく出回っていますので、
ネーミングに惑わされずに、本物を見極めて使って頂き、
どうか、日本の職人さんを守っていってください。