うちのお店楽庵では、自分が使ってみて良いものをなるべくお売りするように心がけています。
そして、そうしたことを説明する上でよくお客様にお話しするのが、自分が使ってもいないものを良いよ!と言って売るのは、料理屋さんで料理人さんが作ったものを味見もせずにお出ししているようなものだ!とお話ししています。
そんな中、楽庵でも人気のある人間国宝の甲田綏郎先生の袴も自分では今までそんなに高くないものを使っていました。
それでも、着用回数はゆうに3〜400回はきていますが、全くへたることなく、ピンとしてシワにもなりません。
そして、甲田さんの袴を仕立てていただいている京都の袴専門の仕立て屋さんにも、こうした良い袴生地は、生き洗いのような石油系の溶剤で洗ったら、ダメだよと言われていますが、生洗いするような状態には全くなっていません。
正直、最初に甲田さんの袴を作るときにも、せっかくならば『特上』で作りたいと思い、甲田さんの袴を手配してくれる京都の社長さんにお話しした所、「50代前半で特上はまだ早過ぎる(笑)」と言われ、普及品を使っていましたが、
先日、もうすぐ還暦にもなるし、『特上』をはいてみたいとお願いしていたところ、過日、やっと織上がって参りました。
『特上』の最大の特徴は、糸に糊けの無いものを使い、濡れぬきと言って、織るために糸にハリを持たせるように、水に濡らした糸で織るので、硬さもなく、ふっくらと地厚でねっとりした風合いが特徴です。
織り上がってきましたものがこんな感じの仙台平でも縞目があまり目立たない感じで、慶弔両用で使えそうな感じのものです。
縞目が目立たないように経糸に暈しを入れて織っていただいています。
まだ仕立てていませんが糊けの無い分シワになりにくいのではないかと思います。
これから仕立てるのが楽しみでしょうがありません。
また仕立て上がったら、着心地含めてお伝えさせていただきます。
文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也