メールできもの楽庵のホームページをご覧いただき、
お履物のお誂えに付きましてご相談賜りました。
基本は、お店にいらして頂き、実際に触れてご納得いただいて
お求め頂くことをお願いしております「きもの楽庵」なので、
特に通販ページなどをお作りしておりませんが、
ご遠方などで、どうしてもお越しいただけないお客様には、
個別で対応させていただいております。
今回、お問い合わせ頂きましたK様も、ご遠方とのことで、
【お誂えのお履物】に付きまして、
その形状、革や帆布のお色目や楽庵で取り扱っております鼻緒などについて
お話させていただきます。
最近、一番人気なのが、お草履の足を乗せるところ「天」(「てん」といいます)に、植物性の綿花の「本真綿」をクッション状に入れましたお草履で、
「本当に疲れにくい。」と評判のものです。
実際のお写真がこちら。帆布(帆船の帆を染めたもの)の本真綿入り草履(女性物)
よく楽庵でお客様にお話することに、「良いものは、そのシルエット、姿が本当に美しい。」と。きれいなフォルムですよね…。
↑底のほうが点に比べて、少し小さめのカーブのシルエット
(お履きないなったときに、スッキリ見えるお草履の形です。)
↑本真綿の台をカットした断面図(天にこんもりと真綿が入れられているのが見れます。)
↑これだけの本真綿が入っております。
↑クッション性の感じ!
あるお客様のでお作りしたもののがコチラ
それと、つい最近、発表されたものが、コチラ。
舞妓さんの「ぽっくり」のようで、非常にはんなりしていますが、
スクウェア型は、シャープにも見える独特の形です。
角度によっては、こんなにこんもりと本真綿が入れられている感じに見えます。
ウェーブ型と言って、通常のもののように、天が斜めに傾斜したものでなく
前つぼ(足の親指と人差指の付け根)が痛くならないタイプもございます。
その他にもリング天といって、天の縁を丸く囲むことで、足が小さく見えて
可愛い御御足に見えるデザイン↓
今は、もう作れないビーズの手刺繍のものや↓
くるみの網代組の天を乗せたお草履↓
網代組の竹を点にのせたお草履↓
本パナマの手組みのお草履↓
などいろいろ取り扱っております。
台の段数についてですが、西の物は、一段物のほうが上等とされ好まれる傾向があります。↓
一方、東の江戸前は、段数を重ねるのは、職人の腕の良さを見せるところと言って、段数を重ねたものを好む傾向があるように思われます。↓
お店でよくお客様にお話させていただくことに、落語の「江戸の花見」では無いけれど、大きなコルクを存分に型抜きして使えた西(京物)に比べて、
薄いコルクしか使えなかった東(江戸物)は、技術でそれを補って、潤沢に使えないことを技術的「粋さ」で、補ったのでは無いかと思います。
表面の生地は、帆布と本革で、かなり多い色目があります。
色目のものなので、ディスプレイの差などによって色目や感じが変わるので、
色のみスキャンしたものと、写真で撮ったものとを載せさせていただきます。
↑Scan 帆布色目№1
↑写真 帆布色目№1
↑Scan 帆布色目№2
↑写真 帆布色目№2
↑Scan 帆布色目№3
↑写真 帆布色目№3
↑帆布生地拡大画面
帆布のサンプル色と実際の台↓
↑Scan 本革エナメル№1
↑写真 本革エナメル№1
↑Scan 本革エナメル№2
↑写真 本革エナメル色目№2
↑本革エナメル拡大表面感じ
↑Scan 本革マット色見本
↑写真 本革マット色見本
↑本革マット拡大_表面感じ
色・ツヤ含めいろいろな感じがあります。
鼻緒もいろいろな種類がございます。
最近一番新しく作られましたのが、お財布などで人気の「文庫革」の鼻緒で
はんなりお洒落です。↓
手組みの正絹帯締めを本天の上質な輪奈ビロードで鼻緒にした「組紐」
足への当たりが絶品で、今では、このレベルの本天を使うものはほとんどありません。↓
コチラも、浮舟幽玄の手組の帯締めで作った鼻緒↓
院蔵裂の組織りの帯地の鼻緒↓
本場筑前博多織の帯地で作った鼻緒
「遊丁」という前坪の鼻緒で、当たりが少なく足が痛くなりにくいもの↓
↑鼻緒本体に穴を開けて前坪を付けた
もの
↑前坪のところの鼻緒の高さが少なく、当たりが少ない。
↑本革の鼻緒で、右から、手描き友禅×2、研き出しという「唐革」鼻緒、金彩の鼻緒
白の帆布で、鼻緒のサイドに少しだけ色目のあるの繊細な鼻緒↓
鹿革に本漆の「本印傳(ほんいんでん)」の鼻緒↓
コスト重視のシルク印傳の鼻緒↓
今は本当に珍しい「うるし佐賀錦」の鼻緒↓
西陣袋帯生地の鼻緒↓
↑足の当たりが非常に良いもので、素足でも足袋でも快適な「本天輪奈ビロード」草履はもちろん、下駄でもOK!
金彩の帯地の鼻緒↓
正絹生地の鼻緒↓
名物裂の鼻緒↓
ラインストーン、刺繍、帯地の鼻緒↓
帆布印傳、小千谷縮の鼻緒↓
楽庵オリジナルの着物生地などを使った鼻緒
↑「楽庵オリジナルの鼻緒」左から、紅花、科布 ChulThai江戸小紋、柿渋帆布の鼻緒
↑「楽庵オリジナルの鼻緒№2」左から、黄金糸、琉球花織、組み織り、紅花、天蚕糸帯地の鼻緒
こうした組み合わせで色々なお草履を別誂え出来ます。
昔は、台から全てお客様の余り裂で作ったお草履なども流行りましたが、
生地のコーティングが経年変化で浮いてしまうことが多いもので、
最近は、鼻緒のみお客様の生地でお作りして、スゲさせていただくことが多いです。
お客様の生地をお持ち込み頂いて、鼻緒からお作りすることも出来ます。
↑コチラは、紳士の方ですが、大島の着物をお作りなられた方が、
鼻緒を残り裂でお作りしてすげたものですげたものです。
今回は、女性物を中心にメインとなるものをUPさせて頂きましたが、まだまだ希少な台なども、沢山ございますので、また、書かせていただきます。
動画でも、いろいろ説明させていただいておりますので、お時間あれば御覧ください。
きもの楽庵 児玉 文責