【きもの楽庵】紳士の正装の羽織紐「籠組(かごくみ)」

この羽織紐は、「夏物」ではありません。
レースの組方のように見えますが、もちろん冬でも、一年中使うもので、
紳士の正装用の「籠組(かごくみ)」というものです。

昔、浅草のお客様のお宅で、お祖父様のお着物の片付けをお願いされた時に、
昔の商家の方だったので、黒紋付の羽織だけでも5~6枚はあり、
冬物にもこの羽織紐がついていました。
そちらのお孫さんは、この「籠組」の羽織紐が、冬物の紋付羽織についているのを見て、「ウチの爺さん、ボケていて、冬物にこんな夏の羽織紐をつけてるよ。」なんて話されていましたが、お祖父様は、ボケていたわけではなく、
非常に正式にお召になっていられたのです。

楽庵でも、定番で扱っていたのですが、ある時、京都のメーカーさんが
もう作れないって…、言われて残念でしたが、
取り扱いできなくなってしまっていたんです。
最後の一つは、この彼のお姉様の結婚式に出席される衣装の時にお売りさせていただいたのが最後でした。

こんな感じに、御召の五つt紋付き羽織に江戸小紋の衣装にも、とても良く収まって・・・。

本当に残念だなって思いながらも、事あるごとにいろんな職人さんや
メーカーさんにも声かけ続けていました。
そうしたら、なんと、平田先生のところの倉庫に残っていた物が有ったという知らせを頂き、有った全部をほしいとお願いしましたところ、先生も貴重品なのはわかっているので、半分は自分のところに残しておきたいから半分なら分けてもいいよっておっしゃって頂き、なんとか、久しぶりに入手できました。

しかし、すぐに一つは、着物好きのお客様に気に入られ、お嫁に行ってしまいました。

「籠組」の羽織紐は貴重品ですので、もし、お家のタンスなどで見かけたら、
大事にしてください。

残りいくつかですが、まだ、楽庵にも在庫はございますので、
気にかかる方はどうぞ・・・、見にいらしてください。

文責ーきもの楽庵 代表 児玉哲也