【楽庵 社長 ブログ】自分色にきものを染める[無地染め編]

忙しさにかまけてブログアップ出来ていませんでした。色々お伝えしたくてネタ・写真はたまる一方なのに・・・、頑張ります。

さて、今日は、お客様から「古く黄ばんだ白生地が、箪笥から出て来たのですが、染め代っていくらですか?」というメール頂いたので、結構お問い合わせが多い事なので、お伝えしようと・・・。

まず、「無地染め」は、大きく分けて2種類あります。

「煮染」(浸染ともいいます)と「引き染め」です。
一般的に、皆さんが呉服屋さんや悉皆やさんに「染めをお願いする」という場合は、「煮染」です。

「煮染」は、お風呂位の温度の染料に生地を浸して染めるので、割と安価で染める事が出来ます。一方「引き染め」は、常温の染料を刷毛を使って、職人さんが手染めするもので、熱を加えないので、シルクの光沢を失わない利点があるものの「染め代」が、「煮染」に比べて、倍から3倍位かかります。

実は、私 児玉の母方の親戚は、今でも京都 丹後で白生地を織っており、その兄弟は、東京で数年前まで「白生地卸の問屋」を営んでおりました。

その叔父の代から、「無地染め(煮染)」は田端の「末広染工」の川添さん黄綬褒章受賞 東京都伝統工芸士 川添晴通)にお願いしております。

末広染工http://www.tokyo-senshoku.com/partner/member/suehiro/suehirosenko.html

無地染めでは、ピカイチの職人さんだと認識しています。その訳はといいますと・・・

僕が、お店を持たずにいわゆる「かつぎ屋」として仕事している頃は、いつも、職人さんのところに寄れるのは、夜の8時・9時頃なのですが、「末広」さんにその時間にお伺いすると、職人さんたちが、呉服屋さんや問屋さんから、預かって来た生地のチェックや札付けをされており・・・、本当に遅くまで仕事されるなあ・・・と。

染屋さんの一日は、大体ですが、朝から夕方までは染めの仕事をされ、夕方になると工場をキレイに掃除されて、そこから、昔よく見たクリーニング屋さんのバイク(後ろに大きな箱を載せたHONDAのスーパーカブ)に股がり、問屋さんや呉服屋さんに染め上がりを納めたり、新しくお願いされる生地を回収して来て、夜8時くらいから、染め替えや白生地に札付けなどの下処理をされる・・・といった感じです。

そして、僕が中でも驚いたのは、夕方の「末広さん」の工場はまるで

「京都の料理屋さんの厨房」のように床や機械が、本当に「なめられるくらい」にピカピカである事  です!

正直、ここまで、ピカピカに掃除する染屋さんは、僕の経験上は見た事がありません。

やはり、良い仕事しているところは「整然と凛としている」ものです。そして、当たり前の事かもしれませんが、キレイにされているので「染め色」に濁りが無いのが特徴です。

ありゃりゃ、「末広染工」さんの宣伝? という訳ではないのですが、僕は基本的に信頼できない仕事は預かりたくない思いがあり、それをお伝えしたくて・・・。

さて、「白生地」を染める件ですが・・・、

まず、白生地が古くなって黄ばんでいるというのは、

白生地を織ったときについている糊気が「黄変」している場合と、シルク自体の「酸化変色」の場合があります。

お客様がよく言われるのが、そうした場合「濃い色」に染めるとおっしゃられますが、「乱暴」な方法では、そうした染めも可能ですが、僕は「サラシ」といって生地を一度キレイにしてから染める事をおすすめします。(サラシというと「漂白」と思われる方もいますが、生地に負担をかけてしまうものではありません。くれぐれもお間違え無く・・・。)

サラシをしてから染めると、本当に濁りの無い本来の色にキレイに染まります。生地によりまして、染め代は異なりますが、ひとつに目安としまして・・・

白生地(三丈物) 染め代・・・12,000円〜、サラシ代・・・5,800円  になります。
他に紋糊をおいての「紋入り無地(一つ紋・三つ紋・五つ紋)」も可能です。ちなみに、白生地から紋糊を置いての「紋付き」は、後から抜染で紋をいれたものとは違い、「紋がキリッとして」格別のものです。

また古い着物の染め替えや色換えも可能ですので、ご相談ください。

最近、NETやチラシなどで、安価に染めるのも見かけますが、正直、僕の経験上、職人仕事の場合、あまり安価な場合は、それなりの仕事である事が多いように思います。